はじめに
理学療法士の尾澤です。
IPNFA認定セラピスト、シュロス法認定セラピスト、リアラインスペシャリスト、Spine Dynamics療法上級認定セラピストなどの認定を持っています。
今回の記事ではシュロス法の正式なコースに参加した時の経験を書きます。
かなり高価なセミナーなので受けようか迷っている方もいると思います。
受けようか悩んでいる方の参考にしていただけると幸いです。
また、シュロス法のコースは筆記試験と実技試験があるため、一人でも多くの方が合格してくださるように、どんな予習をしておけば良いかという対策も記載しておきます。
テストなどが不安な方、より質の高いコースを過ごしたい方のお役に立てれば幸いです。
シュロス法とは
シェロス法は1921年にドイツのキャサリン・シェロス氏によって確立され、100年以上の長い歴史の中で改善され発展してきた側弯症の治療法です。脊柱側弯症などの脊柱の弯曲異常に対して姿勢を修正する治療法です。身体を肩・胸・腰・骨盤のブロックに分けて、それぞれのブロックが3次元的にどのような位置関係にあるかを評価して修正します。他動的な徒手療法よりはむしろ呼吸運動を中心とした児童運動で姿勢の修正運動を促します。脊柱側弯症は小児〜思春期に多く発見されますが、若年者の側弯症だけでなく高齢者の姿勢変形にも応用可能で高い効果が出ます。
シュロス法の正式なコースは理学療法士の国家資格を持っていないと受講することができません。シェロス法のトレーニングコースは1986年から始まりました。認定取得過程を修了した理学療法士は「シェロスセラピスト」になります。コースはドイツ、スペイン・オーストリア・イスラエル・イギリス・アメリカ、ラトビア、エストニア、ハンガリー、韓国、日本、タイ、アメリカで開催されています。
シュロス法のコースについて
コースは前半4日(コースⅠ)、後半5日(コースⅡ)に分かれています。
コースⅠ
前半のコースⅠでは、側弯におけるタイプ分類や評価方法について講義と実技が行われます。
実際に側弯症の方が協力してくださって評価を行います。
基本的な呼吸法・姿勢修正エクササイズ実技を習得します。
コース終了時には筆記試験があり、講義内容を理解できていたかをテストされます。
コースⅡ
筆記試験に合格するとコースⅡの受講資格が獲得できます。
後半のコースⅡでは、より詳細な側弯症のタイプ分類、評価、エクササイズの流れについて講義と実技練習が行われます。
実際の側弯症の方に対して治療プログラムの選択と実践を行います。
認定試験があり、2時間の筆記試験と15分の実技試験があります。
試験に合格するとシェロスセラピストとして認定されます。
コースⅠ概要
私が受けたコースの概要は以下のようなものでした。
日程:2019年6月27〜30日(4日間)
講師:
宇於崎 孝先生(びわこリハビリテーション専門職大学)
浅田 啓嗣先生(鈴鹿医療科学大学)
受講料:8万円(税込)+ 宿泊費31,000円(4泊分)
会場:JAOMPTセンター(滋賀県近江市)
参加人数:16名
昨年度のコースは4日間連での受講ではなく、前半2日(日曜・祝日)をオンラインで座学、後半二日間を対面で行なっていたようです。
4日間連続で職場に休みを申請しなくて良いのでとても参加しやすく感じます。
さらに、滋賀で4泊しなくて良いのでかなり節約できて羨ましいです。
私が参加した時の臨床年数と背景
私が参加したのは2019年の6月、臨床6年目でした。
PNFのLevel4整形まで受講し、Spine Dynamics 療法の上級認定資格を所持していました。
当時はリハビリ病院の回復期病棟所属で、主に片麻痺患者様を担当することが多い時でした。職場の師匠に「シュロス法って知ってる?尾澤ちょっとコース行ってきてよ」と言われて興味を思ったことがきっかけで参加しました。
毎日の流れ
私が受けた時のタイムスケジュールは大体以下のような感じです。
9:00〜18:00 講義・実技
(初日のみ10時開始)
昼休憩1時間
その他適宜休憩
最終日に筆記試験があり、コース中に学んだ基本知識の確認がありました。
シュロス法認定コースⅠの内容
講師は日本人のインストラクターで、講義は主に日本語のでした。
資料は英語でしたが、しっかり日本語訳がしてありました。
内容は以下のようなものでした。
- 脊柱側弯症の講義
- 実技(評価、治療)
- 筆記テスト
脊柱側弯症の講義
脊柱側弯症の基本的な知識、姿勢の評価方法、姿勢の修正方法を学びます。
前半のコースⅠでは胸椎と腰椎の側弯について学びました。
後半のコースⅡでは頚椎の側弯まで学び、かなり複雑になるため、そのための準備というような感じです。
脊柱が側弯する際は必ず前額面だけでなく矢上面・水平面でも異常が出て胸郭や骨盤のマルアライメントが生じるということを初めて知って勉強になりました。
実技(評価、治療)
胸椎の側弯の修正、腰椎の側弯の修正、胸腰椎が混在した側弯の修正の評価方法、背臥位・側臥位・腹臥位・座位など様々なポジションでエクササイズをしました。
書籍などで読んだだけではわからなかったものがしっかりわかりました。
筆記テスト
筆記テストは選択式ではなく記述式のものだったと思います。
内容は基本的なもので、講義中に「ここが重要!」と言われた部分でした。
それをしっかり復習しておけば大丈夫ですが、テスト勉強は参加者全員が前日にかなりしっかりやっていたので、油断すると落ちると思います。
試験結果はコース終了後1ヶ月後くらいにメールで届きました。
私は100点満点中86点で合格しました。高得点っぽく感じますが、たしか8割以上点を取らないといけなかったと思うのでギリギリです。
筆記試験に落ちると後半のコースに参加できないので、いなくなると他の参加者に落ちたのがバレて恥ずかしいと思って全力で頑張りました。
後半の「テスト対策」の項目で、事前に把握しておくと良い部分を記載しておきます。よろしければ参考にしてください。
コースに参加してどうだった?
脊柱が側弯する際は必ず前額面だけでなく矢上面・水平面でも異常が出て胸郭や骨盤のマルアライメントが生じるということを初めて知って勉強になりました。
一番よかったことは「脊柱のアライメント異常を3次元で見る能力が劇的に上がったこと」でした。
私がコースを受けた時は回復期病棟で、主に脳卒中片麻痺患者様の理学療法を担当していました。
オース参加後に気づきましたが、片麻痺患者様も脊柱側湾症の方と基本的に同じような姿勢の崩れ方をしています。
脊柱や胸郭の回旋マルアライメントをイメージしやすくなって、修正するためのハンドリングがとてもスムーズに行えるようになりました。
また、具体的にイメージができるようになったおかげで、後輩や学生指導の際も「すごくわかりやすい」と言われて喜んでもらえるようになりました。
参加する前にしておいた方が良いこと
シュロス法のコースⅠに出た上で、今ならこういう予習・対策をしておくというものがあるので紹介しておきます。
これをやっておけば、試験の不安を払拭でき、コースに余裕が出て得られるものが多くなるだろうと思います。
読んでおけば楽になる書籍
これら書籍は試験対策になるだけでなく、今後も脊柱側弯症などの脊柱のアライメント異常の治療にずっと役に立ちます。
基本的には以下の2冊を購入して、筆記テスト対策など用語の勉強には「シュロス法による側弯症治療」の書籍を読み込み、エクササイズなどの予習には「シュロスセラピー」を眺めておくと良いです。
テスト対策
テストは最終日に筆記試験があります。
うろ覚えですが、8割以上正解していないと合格できなかったと思います。
(正確な情報をお持ちの方は教えてください)
コースで学んだ基本的な内容をしっかり勉強すれば大丈夫ですが、テスト勉強は参加者全員が前日にかなり必死になってやっていました。
先ほど紹介した書籍で事前に予習しておくと、前日に不安で必死になってテスト勉強で苦しまなくて済みます。
私が受けた時の筆記試験対策にワードのファイルを作っていたので、事前にテスト勉強をしておきたい方は下の内容を先ほど紹介したテキストなどで調べて対策しておくと、テスト勉強がかなり楽になると思います。
- 側弯症の特徴3つ
- CSL(正中仙骨線)とは何か
- CSL(正中仙骨線)は画像上どのような評価(指標)として使用するのか
- Neutral Vertebra(移行椎)とは何か
- Apex(頂椎)とは何か
- TP(Transitional Point)とは何か。
- ブロックの各名称
- 身体特徴の各名称
- 図の記号の名称とその目的
1. Schulterzug
2. Schultergegenzug on the T-side
3. Schultergegenzug on the L-side
4. Prominent Hufte の調整(3rd pelvic correction)
5. Active, passive 5th pelvic correction
6. 頭部の位置
7. 正しい呼吸方法のサイン - 胸椎タイプと腰椎タイプのBasic correctionはどんなものか
- Sagittal correctionはどんなことをするか
- 姿勢4種類とその説明
- Pelvis correctionは段階的に何をするか
おわりに
シュロス法は脊柱のアライメント異常の治療に対してとても効果的な、本当に素晴らしいコンセプトです。
脊柱側湾症でお困りの患者様を救うことができるので、たくさんの方に受講していただきたいです。
テストがあって大変なコースではありますが、その分、認定セラピストになった際の信頼性はとても大きいと思います。
テストがあると聞いて不安に感じている方の助けになれたら嬉しいです。
患者様のために一緒にがんばりましょう!
患者様のために頑張る方を心から応援しています!
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