2023年2月下旬にIPNFAのPNFレベル5を修了してPNF認定セラピストになった理学療法士の尾澤です。
先日の記事にも書きましたが、PNFレベル5は本当に素晴らしいコースでとても勉強になりました。
素晴らしいコースだった一方で、今まで受講したコースの中で最も大変でした。
これから受ける方の参考になるように、この記事では私がコースを受講した時の経験と、コースを受けた上で今ならどんな事前準備をするかという対策を記載しておきます。
テストなどが不安な方、より質の高いコースを過ごしたい方、AQCを目指す方のお役に立てれば幸いです。
PNF レベル5とは
PNF レベル5はPNFのベーシックコース1+2、アドバンスコース3、アドバンスコース4、アドバンスコース4Bを受講して、一定の成績を残して推薦を受けたセラピストが受けられるコースです。アドバンスコース4Bを受講した半年後以降に受講できます。
私は3→4→4Bと進みましたが、3と4を合計で3回受講すれば大丈夫です。
今まで学んできたPNFの全てをアウトプットし、一定のレベルに到達していることを示してIPNFAに認定してもらうためのコースです。
概要
私が受けたコースの概要は以下のようなものでした。
日程:2020年2月23日〜27日(5日間)
講師:
Bettina Lang先生(IPNFAシニアインストラクター)
Frits Westerholt先生(IPNFAシニアインストラクター)
オーガナイザー:
松田現先生(IPNFAアドバンスインストラクター)
言語:英語(日本語の通訳あり)
テキスト:なし
内容:
講義(参加者による講義、インストラクターによる講義・実義指導)
PNFの応用的な実技練習
患者様の治療実習(参加者による発表あり)
筆記テスト
実技テスト
受講料:143,000円(税込)
会場:GEN ACADEMY(東京都文京区)
参加人数:18名
17名が日本人で、1名だけ韓国からの参加者がいました。
私が参加した時の臨床年数
私が参加したのは2023年の2月、臨床9年目、PNFを学び始めて7年目の時でした。2016年11月にベーシックコース1+2、2017年7月にレベル3、2018年8月にレベル4 整形、2020年2月にレベル4B中枢を終了していました。
自費リハビリ領域で徒手療法ばかり行っていました。
タイムスケジュール
私が受けた時の1日の流れは、だいたい以下のような感じです。
9:00〜12:30 講義・実技
12:30〜13:30 昼休み
13:30〜14:30 治療実習
15:00〜17:30 講義・実技
17:30〜18:00 質疑応答
一日中ガッツリでかなりハードです。
1日目
初日の最初にコースの説明と簡単な自己紹介がありました。日本語で大丈夫ですが、せっかくの海外の講師ですので英語の自己紹介を準備しましょう。自己紹介の内容は以下のようなもの。
- 名前
- セラピストになって何年目か
- どこで働いているか
- 主にどんな患者様を治療しているか
- PNF以外の講習会の経験はあるか
私が自己紹介をする時用に準備している定型分は以下のようなものです。よろしければ参考にしてください。
I’m Shota Ozawa.
私の名前は尾澤翔太です。
I’ve been working as a physiotherapist since 2014 and am in my 9th year.
2014年に理学療法士になって現在理学療法士9年目です。
I have experience treating in many kinds of patients such as orthopedics, stroke hemiplegia, spinal cord injury, neurology, and cancer.
私は整形外科、脳卒中片麻痺、脊髄損傷、神経内科、がんなど多くの領域の患者様の治療経験があります。
I’ve worked at a university hospital, rehabilitation hospital and orthopedic clinic.
今まで大学病院、リハ病院、整形外科クリニックで働いてきました。
Now I work in a private salon.
今は開業しています。
I mainly treat patients of chronic orthopedics, stroke hemiplegia, and ingrown toenails.
主に慢性期整形外科患者、脳卒中片麻痺患者、巻き爪の方を治療しています。
In addition to PNF, I have experienced many workshops such as ISST, manual therapy, ingrown toenail correction, and insole making.
PNFの他にはシュロス法(ISST)、徒手療法、巻き爪補正、インソール作成など多くの講習会に参加してきました。
I’m looking forward to working hard on this course with everyone.
皆さんといっしょにコースを頑張るのが楽しみです。
I’ll do my best for 5 days.
5日間精一杯頑張ります。
Thank you.
ありがとうございました。
1日目は、最初に自己紹介があった以外は、最初に書いたタイムスケジュール通りでした。
さらに1日目の終わりに簡単な懇親会があり、みんなとコミュニケーションを取り合いました。英語が話せると講師や外国の参加者とコミュニケーションが取れてとても楽しいです。
2〜3日目
2日目、3日目も最初に書いたスケジュール通りでした。
私は二日目の朝イチでパワーポイントを使って発表(講義)をしました。
4日目
4日目は朝イチで筆記試験がありました。
試験は全部で15問、全て4択の選択式でした。制限時間は45分。
内容はPNFについて、ICFについて、歩行時の筋活動について、異常歩行の原因について、動作分析について、irradiationについてなどかなり範囲が広く難しかったです。
9:00〜10:00前くらいまで試験をして、あとはタイムスケジュール通りでした。
かなり難しくて、参加者の多くが絶望していました。
5日目(最終日)
最終日は昼休み後、13:00から実技試験でした。
順番は前日に自分たちで相談して決めました。基本的には関東以外の遠方在住の方が早めに試験を受けて、関東在住組はその後に試験を受けました。最終は19時近くになっていたと思います。
PNF レベル5の内容
講師はドイツ人とスイス人のインストラクターで、講義は主に英語でしたが日本語の通訳が入ってくださっていました。英語が不安な方も安心して参加して大丈夫です。
ただし、レベル5は英語で課題作成をして、さらに発表もする可能性があるので、ある程度英語は読めて書けて話せた方が良いです。
レベル5はコースの数ヶ月前に出される課題があり、それを提出した上でコースに参加します。
PNFレベル5の課題
PNF5はコースの数ヶ月前に課題を出されます。提出期限はコース開催の6週間前で、かなり大変で日常生活に支障をきたすくらいの負荷でした。
- 履歴書(英語、決まった形式なし)
- 自己紹介動画(英語で5分以内)
- 症例の治療デモ動画(日本語で30分以内)
- 治療動画のサマリー(英語)
- 症例レポート(英語)
履歴書(英語、決まった形式なし)
履歴書を作ります。内容は全て英語です。
自己紹介文などを作成しないといけないのである程度しっかり英文を作れないと厳しいです。
履歴書は決まった形式のものがなかったため、自分でwordで作成しました。
参考までに載せておきます。もしよろしければご自由にお使いください。履歴書の形式や内容は私が参加したコースと指示が異なる可能性もあるので、ご使用される場合は自己責任でお願いします。
自己紹介動画(英語で5分以内)
症例の治療デモ動画を作成するのですが、動画の最初で簡単な自己紹介を英語でしなければいけません。
この部分は5分以内の簡単なものにする必要があります。
症例の治療デモ動画(日本語で30分以内)
患者様の治療デモの動画を撮影・編集して送る必要があります。
ここは日本語でOKです。説明などもする必要はありませんでした。
時間は自己紹介を含めて30分以内でした。編集といってもYouTuberみたいな編集をする必要はなく、自分が行ったエクササイズをつなげていく程度でした。
症例レポート(英語)
自分が行った治療デモ動画のレポートを提出します。レポートの雛形は講師から送られてきましたが、IPNFAの会員なればHPからダウンロードできるとのことでした。
書くことは下記のこと。
基本情報
- 患者様の診断名
- 活動制限
- CI
- 活動制限・CIに対して行ってテストとその結果
- 長期目標
- 短期目標
- 治療結果のテスト
動画のプロトコール
- 動画内のタイムコード
- ポジション
- 行ったパターン/アクティビティ
- そのエクササイズのゴール
- エクササイズの目的
- 補足説明
記載は全て英語です。簡単な文章で良いので、英語で文章を作れるようになっておかないときついです。英語の勉強は早いうちから絶対にやっておいてください。
治療動画のサマリー(英語)
PNFレベル5の内容
内容は以下のようなものでした。
- 講義(参加者による講義、インストラクターによる講義・実技指導)
- PNFの応用的な実技練習
- 患者様の治療実習(参加者による発表あり)
- 筆記テスト
- 実技テスト
講義
講義は今までのようにインストラクターからの講義や実技指導を受けるだけでなく、参加者が2人1組になって事前課題を割り当てられて、それをもとに講義をします。
私は「テクニックの組み合わせ」について発表しました。時間は15分以内でした。
パワポなどは必要に応じて準備して、スライドや発表は全て英語でした。
発表後に我々の発表内容を踏まえてインストラクターが講義・実技指導を行います。
PNFの応用
前述したテクニックの組み合わせ方だけでなく、irradiationや間接的アプローチなどの応用的なPNFの使い方を実際の症例に即して考え、教わります。
今までの基本をしっかりと使いつつ、PNFの集大成と思えるような応用的な方法を学べます。
患者様の治療実習
今までのコースと同じように、講師によって振り分けられていた実際の患者様に対して、二人ペアになって治療します。持ち時間は二人で1時間くらいでした。
IPNFAのアセスメントシートを使って評価、治療を実施していきます。
治療実習中はインストラクターが我々がどのような治療をしているか評価をします。
今までのコースと大きく違う点が一点ありました。今までは治療実習後に患者様に残ってもらい、インストラクターがどのようにPNFの治療を組み立てるかのデモがありましたが、レベル5では担当したコース参加者がどのような治療を行なったか、全参加者やインストラクターの前でデモをしました。
治療実習がしっかりできないと普通に落ちます。私はこの項目の出来が悪く、合格点ギリギリで危なかったです、、
筆記テスト
筆記テストは15問、全て4択の選択式でした。制限時間は45分。
内容はPNFについて、パターンについて、ICFについて、歩行時の筋活動について、異常歩行の原因について、動作分析について、irradiationについてなど、範囲は非常に広かったです。
難易度がかなり高くて、テスト後には参加者全員で悲鳴を上げました。
実技テスト
試験時間は一人20分程度、流れは次のような感じでした。
- 症例の書いてあるカードを引く
- 1つ前の順番の参加者がテストを受けている間に、どのような治療するか紙に書いて準備する
- 実技試験を行う(1症例)
- コース全体のフィードバック
- 講師との記念撮影
いろんな方の症例を聞きましたが、神経内科系や脊髄損傷、疾患名がなくて症状だけなど、さまざまなケースがありました。
私が受けたレベル5ではパターンの実技試験はありませんでした。
コースに参加してどうだった?
アウトプットが非常に多いコースでした。
レベル5は新しいことを学びに行くところというよりは、今まで学んできたPNFをしっかり理解して使えているかをアウトプットして、それをシニアインストラクターにチェックしてもらうコースというような感じがしました。
私は講師からのフィードバックで
「知識は素晴らしくて本当に尊敬する。でも技術がその知識に追いついていない。本当はAQCへの推薦をあげたいけれど、もう少し技術が上がった時が最適だろう」
と言われました。
私はこの一年、徒手療法の割合が多くなってしまいPNFを使う頻度が減ってしまった影響がモロに出てしまった感じがしました。
事前に準備しておいた方が良いこと
PNFレベル5に出た上で今ならこういう予習・対策をしておくというものがあるので紹介しておきます。これは私だけでなく、周りの参加者も「もっとこうしておけばよかった」と後悔していたことです。これから受けようと考えている方や、すでにレベル4Bを終えてレベル5の参加者リスト登録メールを送った方は準備して多いて損はないと思います。
用意しておくべき書籍
いつも紹介している3冊ですが、一番上のPNF in PracticeとPNFハンドブックは今すぐにでも購入しておいた方が良いです。
PNF in Practiceは参加者の多くが「もっと早くから読み込んでおけばよかった!」と後悔していました。
テスト対策だけでなく、事前課題を作成する際にも非常に役立ちます。
また、PNFハンドブックはPNF in Practiceの和訳版なので日本語で勉強がしたい方や英語だけで勉強するのが不安な方にはおすすめです。
見ておくべき動画
IPNFAのYouTubeチャンネルで様々な講義がありあます。そこでPNFの英語の講義に慣れておくと良いです。リスニング対策です。
英語習得のために
最後に、周りの参加者の多くが言っていた後悔が
「コース参加前にもっと早く英会話を始めればよかった」
です。
私も半年以上前から英会話を始めて、なんとか簡単なコミュニケーションは取れるようになりました。
以前、PNF5に向けて行ってきた勉強についての記事を書きました。
こちらではインプット中心に記載しましたが、それと並行して英会話を実際に行ってアウトプットすることが絶対に必要です。どんなに頑張ってインプットしても、瞬時に話すのは日頃から行っていないと絶対にできません。
私は
- いきなり人と英会話をするのは恥ずかしいし緊張するし怖い
- 外に出たくない(好きな時間にオンラインでやりたい)
- 使える表現の基礎を固めてから英会話をしたい
という願望があり、その条件を満たすような英会話サービスを探しました。
私のおすすめはHiNative Trek(ハイネイティブトレック)とベルリッツです。
どちらも
- 課題などの自己学習がある
- 好きな時間にオンラインでできる
- 自己学習の課題を使って会話・発話しフィードバックがもらえる
という私が欲しかった条件を満たしていました。
HiNative Trek
HiNative Trek(ハイネイティブトレック)は人との英会話は行わず、オンラインで好きな時に提出した課題をフィードバックだけしてもらえます。
実際に人との会話をしないので英語がペラペラの人と話すのは怖いという方の導入には圧倒的にオススメです。
ベルリッツ
ベルリッツは課題をもとに実際に会話を行なってフィードバックをもらえます。
外国人講師とマンツーマンで行うオンラインレッスンと、AIの音声認識やレッスン動画で学習を繰り返すことができて、自分のペースで使える英語を身につけられます。
どちらかというとベルリッツがおすすめです。最初はHiNative Trekから始めた方も最終的にはこちらができるようになるべきです。
おわりに
アドバンスコースPNFレベル5はコース開始前の準備からコースが終わるまで、本当にとても大変です。
この記事に載せた書籍や英会話レッスンなどで勉強しておけば、レベル5の対策になるだけでなく普段の臨床にも活きてきます。
ぜひ早いうちから対策して少しでも不安材料を減らし、有意義なコースが送れるよう祈っています。
この記事がこれからレベル5を受ける方のお役に立てると嬉しいです。
私は今回のコースで認定は取れましたがAQCの推薦はもらえなかったです。英語の勉強を続けてPNFの技術を高め、AQCへの推薦をもらえるようにもう一回レベル5を受けます。これから受講する方は、もしコースでお会いした際はよろしくお願いします。
いっしょにPNFの勉強頑張りましょう!