この記事を描こうと思った経緯
実習中のケースバイザーとして指導してくださった、現在の職場のお師匠が使っていたのがこの手技でした。
お師匠は当時整形外科患者を担当していて、圧倒的に患者さんを良くしていて私にとって憧れのヒーローでした。
現在もPNFと双璧をなす、私の武器となっている大好きな手技の一つです。
受講したのは2015年の冬で、臨床一年目の頃でした。
10万円近くしたセミナーを受講したのISRが初めてでした。(たしか3日間で96,000円だったような…)
使っている感想としては即時効果と持続効果に非常に優れている手技です。
しかし、職場で後輩に勧めてはいるものの、受講費の高さが大きな壁となり、なかなか誰も参加しないため、具体的にどんなメリットを私が感じたか知っていただきたいと思ったからです。
今の職場では私の他に、ただ一人、年間100万円以上自己研鑽に費やすほどPTが大好きな先輩1人しか受講していません…
その方と一緒に中級編・股関節(3日間で約10万円)に参加したことがありますが、参加する前は二人で
「高いですね…参加する意味ありますかね…」
と話していましたが、参加した後は、
「安いですね!本当に申し込んでよかったですね!」
となり、次は肩関節編と膝関節編も一緒に行こうと二人で予定を調節しているほどです。
どんな方に向けて記事を書いている?
「徒手療法を学びたいけれど、何か良いセミナーはないかなぁ」と悩んでいる方。
「担当している患者さんや周りの人が原因不明の疼痛やゴリゴリ音に悩んでいて、関節モビライゼーションを行っても症状がなかなかよくならなくて、なんとか治してあげたいなぁ」と思っている心優しい方。
「ISRに参加したいけど、受講費が高すぎるなぁ。これで大したことなかったらやだなぁ」と悩んでいる方。
こんな方に向けて記事を書いています。
ISR®︎初級編に参加して得られた知識・技術
私は5年前に受講し、それから現在まで理学療法士として働いた印象は、ISRとCSPT(クリニカルスポーツ理学療法)は全PT・OT必須の研修にして欲しいと思っています。
私がどこかの施設のトップだったら、下の記事で書いている以前記事に書いたPNF1+2とPNF3、CSPT、そして今回紹介するISRは新人研修として必須にすると思います。
IPNFAベーシックコース1+2に参加した感想
IPNFAアドバンスコースPNF3に参加しての感想。
まずISRって何?
ISR®(=Inter-Structural Release)または組織間リリース®とは、組織どうしをゆるく結合している疎性結合組織をリリースすることを意図した徒手的治療法です。
このテクニックは、蒲田和芳が20年間に渡り徒手療法の技術開発に取り組んだ結果たどり着いた技術です。
この技術を身に着けると、治療として用いることができるだけでなく、1mm単位での詳細な触診によって痛みを「計測」することができるようになります。
組織間リリース(ISR)は、医師・理学療法士・作業療法士・柔道整復師・鍼灸マッサージ師など医療系資格をお持ちの方を対象に、この技術を修得していただくためのセミナーです。リアラインHPより引用
詳しくはこちらで確認できます。
私が良いなと思った理由
理由は大量にありますが主に以下の3つです。
- 極めれば、ほとんど痛みが無く患者さんの困っている症状を取り除ける
- 触診技術が桁違いに上がる
- この先受ける、あらゆる研修で役に立つ
①極めれば、ほとんど痛みが無く患者さんの困っている症状を取り除ける
力まかせにゴリゴリ揉んで、気づかないうちに患者さんに苦痛を与えてしまっている。
とりあえずはじめにさわさわとさすったり、リラクゼーション的にマッサージを始めてしまう。
これはどの職場でもかなり多く、某有名な理学療法士の先生もセミナーの中で、バイト先でそのようなことをしている場面を見て、
「なんであんなことやってるんだろう?」
と疑問を持ったとおっしゃっていました。
ISRを習得すると、
「何されているかよくわからないけど、気がついたら良くなっていてすごい。しかも次の日もちゃんと効果が残ってる」
と言われるようになります。
私レベルの無名PT、でリアラインコンセプトの専門資格を持っていないくても患者さんにそう言われるくらいなので、おそらく間違いないです。
②触診技術が桁違いに上がる
セミナーの中で、アライメントを修正するために必要な筋を細かく触り分けます。
しかもその軟部組織が正しくリリースされたかどうかも指先で感じなければいけません。
うすうす気づいた方もいると思いますが超高度なテクニック&指先の感覚が必要です。
かなり鍛練を積んだ私でもギリギリわかるくらいなので、初めての方は結構大変かもしれません。
しかし、鍛練を積めば高い確率でわかるようになります。
自分のリリースできている時の感覚と、患者さんのリリースされている感覚が一致する時がやっています。
ISRを何度か受講した私の感覚では、これはCSPTしか参加したことのない場合は少し厳しいのではないかと感じました。
③この先受ける、あらゆる研修で役に立つ
リリース系の研修はかなり多く参加しましたが、その中でもトップクラスでリリースをする位置・深さ・速度が具体的でした。
私は幸運にもISRに1番最初に参加したおかげで、様々なリリース系の研修に参加して、周りが全然わからないと頭を抱えている中で、講師が言っていることを理解して、その場でパートナーに対して即時効果を出すことができました。
ISR(初級編)受講するとどうなる?
患者さんを苦痛から救うことができます。
最近、私が経験した例では、起立・着座で膝蓋骨がゴリゴリ言って痛いとおっしゃっていた方を、ISRを用いた結果因子の治療をして、「あれ?うそ?」と言われるくらいスッキリ治せました。たった一回代行しただけでです。
その方からは、「開業したら絶対に行くから教えてね」と言われ、退院後も定期的に会いにきてくださるほど感動していただけたみたいでした。
家族や同僚を助けられるようになります。
圧倒的に症状が改善するので、家族から
「痛いから治して〜実家に早く帰ってきて〜もうコロナ大丈夫なんじゃないの〜」
と切望されます。
さらに、同僚の理学療法士からも「痛いから治して」と頻繁に依頼されるくらいです。
日頃お世話になっている先輩には恩返しができます。
後輩に対してはしっかり介入効果を出すことで、理学療法に興味を持ってもらえて、若くて優秀PTが育って、良いことづくしです。
注意点
非常に素晴らしい手技ですが、注意点が3点あります。
- 患者さんが良くなりすぎるので、頼りすぎに注意
- クオリティが高すぎるため、鍛錬が必要
- ISRの前に、まずはCSPTを受講しろ!!!
①患者さんが良くなりすぎるので、頼りすぎに注意。
私は現在、回復期病棟を担当しています。
片麻痺患者さんが多いですが、この手技は非常に有効に使えています。
しかし、効果が出過ぎて頼りがちになるあまり、集中すると運動療法の時間が減ってしまいます。
私もその傾向があるため、周りの凄腕PTの先輩から注意されることがよくあります。
スポーツ選手や若年者などではそれで問題ないかもしれませんが、高齢者を担当していたり回復期病棟で働いているPT・OTは、運動量の確保が重要となるため、多用のしすぎには注意をしないといけないと思います。
②手技のクオリティが高いため、鍛錬が必要
私はずっと自身の前腕の筋間や中手骨・基節骨の上のfaciaをリリースしていました。
当時は「指を置いていると氷が溶けるようなじわじわとした感覚がする」と教わったため、セミナーに参加してから現在まで、暇な時はひたすら前腕や手を触ってリリースしています。
おかげで「尾澤の癖は腕を触ること」とからかわれるくらいです。笑
現在は超音波エコーの活用や蒲田先生の指導方法がかなり改善され、習得しやすくなってきていますが、それくらいの覚悟は必要だと思います。
3年ほどかかってようやく確かな感覚を掴めるようになりました。
この後書いていますが、先にCSPTを受講するとはるかに早く感覚を掴めると思います。
③ISRの前に、まずはCSPTを受講しろ!!!
私はISR初級編に参加した2年後にCSPTに参加しました。
お師匠からは「CSPTを受ける前にISRに行くなんて常軌を逸している」と言われたくらいです。
現に、学生時代〜臨床2年目まで私は「評価?そんな格好悪い名前のものはある程度できればどうにかなるぜ!俺は患者さんを治せるすごい治療手技さえ習得できればそれでいいんだ!」という、常軌を逸した超危険思想PTでした。
私以外にはいないと思いますが、万が一、同じ考えを持った方がいるのであればお伝えします。
評価がとにかく大切です!!!
ISRに参加した時は「とりあえず硬くて痛いところはリリースすればいいんだ!えいや!」と具体的な目的なくリリースを実施していました。
当然、一時的に患者さんはよくなりますが持続効果は乏しく、街中のマッサージ屋さん状態でした。
実習時代にお世話になったお師匠のいる病院に転職し、根本から評価を鍛え直され、CSPTを1年間受講し、評価が身についてからようやくISRの即時効果・持続効果がはっきりと出るようになりました。
もしかしたらCSPTを先に受講していれば、あんなにたくさん修行しなくてももっと早く治療効果が出やすくなっていたのかなぁ、とものすごく後悔しました。笑
ISRはそもそも手技の正確性を高めるための講習会となっています。
リアラインコンセプトは「ゆがんだり本来の動きを失った関節を理想的な状態に整える」ためのコンセプトと公式サイトにあります。
CSPTは「部位別に理想的な関節運動を取り戻すための治療の考え方(設計図)とそれを実現するための治療法(技術)を習得できる」と示されています。
評価方法やゴールが分かった上でISRを行えば、私みたいに遠回りをせず、より多くの患者さんの悩みを解消できると思います。
CSPTの詳細はこちらから確認できます。
JLCオンデマンドの蒲田和芳コースで月額3,600円でCSPTやISRの動画を視聴することもできます。
私はJLCのオンデマンドやDVDにかなりお世話になっています。
もちろん、他の先生から良いアライメントについて学んでおり、各関節に深い知見がある方であれば無理にCSPTを受ける必要はないと思います。
ISRに興味を持ったらどうするか。
こちらから研修情報をチェック。
現在、実技系の研修はすべてZoomのオンラインで受講できます。
私の職場では現在3年目の優秀な後輩が2人、CSPTをオンラインで受講しています。
手技系セミナーをオンラインで受ける意味あるの〜と思われる方のために、以下、HPからの引用です。
受講のメリット
今回のオンライン化は実技の直接指導ができなくなりますが、逆にいくつものメリットが生じます。
1)全国どこでも受講できる
2)チャット機能で気軽に質問できる
3)実技ビデオの提出により、いろいろなエラーパターン(技術的誤り)を見ることができ、リアルセミナーよりもさらに多くのフィードバックを受けることができる。
4)受講料が大幅にお得(実質1/3に)
5)日程が合わない場合は、年度内何度でもYouTubeでセミナー動画を視聴可能リアラインHPより引用
余談:リアラインコンセプトをより活かすために
私はPNFの受講を勧めます。
私が実感した理由は簡単に以下の3つです
①リアラインコンセプトとPNFはどちらも軟部組織に対する介入が多くて相性が良く、お互いの良さを生かした介入がしやすいと感じたから。
②各関節を部分的に見るのには強くなれたが、全体の動作観察をするための知識・技術が不足していたため、PNFでそれを補えから。
③PNFがスポーツや整形外科領域に生かしやすいから。(リアラインコンセプトに興味を持っている方は、アナトミートレインなどの筋膜連結に興味があり、クリニック勤務やスポーツ領域で活躍されている方が多いと思ったため)
PNFベーシックコースに参加してPT人生が変わった話
IPNFAアドバンスコースPNF3に参加しての感想。
まとめ
ISRに参加しよう。
おすすめする理由
- 極めれば、ほとんど痛みが無く患者さんの困っている症状を取り除ける
- 触診技術が桁違いに上がる
- この先受ける、あらゆる研修で役に立つ
注意点
- 患者さんが良くなりすぎるので、頼りすぎに注意
- クオリティが高すぎるため、鍛錬が必要
- ISRの前に、まずはCSPTを受講しろ!!!
詳しくはこちらから
本日の記事は以上です。
こんなに長いのに最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後に
私は、自分で体験したセミナーを中心に紹介していますが、基本的にセミナーを紹介していくらもらうというような利益相反はありません。
なるべく中立的に記事を書こうと思ってはいますが、良かったものは良かったと熱が入ってしまう癖があります。
なるべく記事を読んでいただいた方にわかりやすいようにリンクを貼っておきますので、私の感想はあくまで一個人の感想とし、最終的な判断は実際のサイトを見た上でご自身で判断していただけると幸いです。
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