最近IPNFAの Level 5 を修了してPNF認定セラピストになった理学療法士の尾澤です。
IPNFAのアドバンスコースLevel 4/4B 整形を受ける方はとても意識が高く勉強熱心で、患者様をより良くしたいとを考えていて心から尊敬します。そんな一生懸命頑張る素晴らしい方でも、どうしてもテストや治療実習で合格できなくて挫折してしまう方もいます。IPNFAのコースは非常にしっかりとしたコースなので仕方ないことだとは思いますが、挫折して仲間が減ってしまうのは悲しいし寂しいです。
一人でも多くの方が合格してくださるように、この記事では私がコースを受講した時の経験と、コースを受けた上でどんな予習をしておけば良いかという対策を記載しておきます。
テストなどが不安な方、より質の高いコースを過ごしたい方のお役に立てれば幸いです。
PNF4整形とは
PNF4整形はPNFのベーシックコース1+2、アドバンスコース3を受講して一定の成績を残して推薦を受けたセラピストが受けられるコースです。アドバンスコース3を受講した半年後以降に受講できます。
4は整形、中枢、スポーツの3種類があり、その中のひとつです。
ベーシックコースで学んだPNFを、整形外科疾患に特化した応用方法を学んでいくコースでした。
概要
私が受けたコースの概要は以下のようなものでした。
日程:5日間(連続)
講師:Marcel Grzebellus先生(IPNFAシニアインストラクター)
言語:英語(日本語の通訳あり)
テキスト:英語(和訳付き)
内容:
整形外科疾患に特化したPNFの応用
患者様の治療実習
筆記テスト
実技テスト
受講料:13万円前後(税込)
会場:GEN ACADEMY(東京都文京区)
参加人数:18名
私が参加した時の臨床年数
私が参加したのは2018年の8月、臨床5年目の時でした。2016年11月にベーシックコース1+2、2017年7月にアドバンスコース3を終了していました。
当時はリハビリ病院の回復期病棟所属で、主に片麻痺患者様を担当することが多い時でした。
タイムスケジュール
私が受けた時の1日の流れは、だいたい以下のような感じです。
9:00〜12:00 講義
12:00〜13:00 昼休み
13:00〜15:00 講義
15:00〜16:00 治療実習
16:00〜17:00 インストラクターによる治療デモ
17:00〜18:00 講義 or 少し押した分
17:30〜18:00 質疑応答
一日中ガッツリでかなりハードです。
1日目
初日の最初にコースの説明と簡単な自己紹介がありました。日本語で大丈夫ですが、せっかくの海外の講師ですので英語の自己紹介を準備しましょう。自己紹介の内容は以下のようなもの。
- 名前
- セラピストになって何年目か
- どの領域の治療経験があるか
- どこで働いているか
- 以前のコースのインストラクターは誰か
- PNF以外の講習会の経験はあるか
私が自己紹介をする時用に準備している定型分は以下のようなものです。よろしければ参考にしてください。
I’m Shota Ozawa.
私の名前は尾澤翔太です。
I’ve been working as a physiotherapist since 2014 and am in my 9th year.
2014年に理学療法士になって現在理学療法士9年目です。
I have experience treating in many kinds of patients such as orthopedics, stroke hemiplegia, spinal cord injury, neurology, and cancer.
私は整形外科、脳卒中片麻痺、脊髄損傷、神経内科、がんなど多くの領域の患者様の治療経験があります。
I’ve worked at a university hospital, rehabilitation hospital and orthopedic clinic.
今まで大学病院、リハ病院、整形外科クリニックで働いてきました。
Now I work in a private salon.
今は開業しています。
I mainly treat patients of chronic orthopedics, stroke hemiplegia, and ingrown toenails.
主に慢性期整形外科患者、脳卒中片麻痺患者、巻き爪の方を治療しています。
My instructor was Gen Matsuda in Level 1&2 and Attila Szabo in Level 3.
インストラクターは1&2では松田現先生、3ではAttila Szabo先生でした。
In addition to PNF, I have experienced many workshops such as ISST, manual therapy, ingrown toenail correction, and insole making.
PNFの他にはシュロス法(ISST)、徒手療法、巻き爪補正、インソール作成など多くの講習会に参加してきました。
I’m looking forward to working hard on this course with everyone.
皆さんといっしょにコースを頑張るのが楽しみです。
I’ll do my best for 5 days.
5日間精一杯頑張ります。
Thank you.
ありがとうございました。
1日目は、最初に自己紹介があった以外は、最初に書いたタイムスケジュール通りでした。
2〜3日目
2日目、3日目も最初に書いたスケジュール通りでした。
患者様の治療実習中に講師がまわってきて、我々が行っているPNFを評価していました。
4日目
4日目は朝イチで筆記試験がありました。
9:00〜10:00前くらいまで試験をして、あとはタイムスケジュール通りでした。
5日目(最終日)
最終日は昼休み後、13:00から実技試験でした。
順番は自分たちで相談して決めました。基本的には遠方から来て帰宅が大変な参加者が前半で、近場の参加者は後半にしました。後半の最後は夕方から夜までかかり、多少遅くなります。
PNF4整形の内容
講師はドイツ人のインストラクターで、講義は主に英語でしたが日本語の通訳が入ってくださっていました。
もしコース参加を考えているけれど英語が不安な方も安心して参加して大丈夫です。
内容は以下のようなものでした。
整形外科疾患に特化したPNFの応用
患者様の治療実習
筆記テスト
実技テスト
整形外科疾患に特化したPNFの応用
脊柱疾患(腰痛、仙腸関節障害、頚椎の障害)股関節症、膝関節、 膝関節、肩関節など各関節の障害に対するPNFの応用でした。
それぞれの関節疾患に対してPNFを使う際に必要な知識やエビデンスについての講義を受けた後に、実技練習を行いました。
ここで学んだ知識・エビデンスは臨床に戻ってからの治療だけでなく、患者様にリハビリ内容の必要性を説明する際にもとても役に立ちます。
患者様の治療実習
講師によって振り分けられていた実際の整形疾患患者様に対して、二人ペアになって治療します。
持ち時間は二人で1時間くらい。
IPNFAのアセスメントシートを使って評価、治療を実施していきます。
治療実習中はインストラクターが評価をします。
治療実習が原因で落とされた方も普通にいます。
筆記テスト
筆記テストは15問の選択式でした。
私が受けた時は1問につき4つの選択肢の中から選択していく形式でした。
内容はICFのこと、歩行のこと、整形外科疾患のこと、パターンやテクニックのことなど、普通に勉強していればわかるような内容でした。
アドバンスコース4の方は10問(2/3)以上、4Bの方は12問(4/5)以上正答する必要があります。
実技テスト
試験時間は一人20〜30分程度、カードを引いて書いてある症例にどのような治療をするかを実践しました。
紙とペンを持って行って、前の参加者がテストを受けているうちにどのようなスケジュールで治療するか紙に書いて準備してから実技試験が始まりました。
治療テスト後はパターンのテストがありました。
講師が上肢・下肢から一つずつランダムで出題し、言われたものを行いました。
肘・膝を曲げながら・伸ばしながらなど複雑なパターンを出されました。
コースに参加してどうだった?
整形外科疾患に特化したPNFのパターン、テクニック、マット動作などの応用の仕方が学べて、臨床に戻ってから整形外科疾患患者様に介入した際の効果が劇的に上がりました。
回復期病棟に多い大腿骨近位部骨折や膝OA患者様からは「魔法のよう」と言われるくらいになっていました。
ただ、それだけの臨床力を獲得できる一方で、コースの内容がとても濃くて考えることがものすごく多いので、コース自体はとても大変で、私はコース終了後に38℃の知恵熱が出ました。
少しでも多くのことをコースで得られるように、すこしでも余裕を持ってコースが修了できるように、しっかりと事前の準備(予習)をしておくべきです。
参加する前にしておいた方が良いこと
PNF4整形に出た上で今ならこういう予習・対策をしておくというものがあるので紹介しておきます。これをやっておけば、試験の不安を払拭でき、コースに余裕が出て得られるものが多くなるだろうと思います。
用意しておくべき書籍
これら書籍は試験対策になるだけでなく、今後の臨床でも必ず役に立ちます。
PNFハンドブックの「4章 患者の治療」の項目を読んでおくと、測定や評価、仮説など、コースの治療実習に役立ちます。治療実習で「アセスメントシートはどうやって書けばいいの?」という悩みに役立ちます。また、章ごとの確認テストがついているので、知識の確認や筆記テスト対策に役立ちます。
絶対に見ておくべきDVD
ここで紹介するDVDシリーズはLevel4 整形ではとても役に立ちます。
Level 4 整形の中で新しく習う肩・腰・頚椎の部分がこのDVDに載っています。予習に何度も視聴しておけば、コース中に新しく学ぶ内容が理解しやすくて余裕が生まれると思います。
私は整形のコースを受けた後に購入して視聴しましたが、もっと早く購入しておけばと後悔しました。
インストラクターは日本のPNFの第一人者、市川繁之先生です。
テスト対策
テストは以下の3つがあります。
- 患者様の治療内容
- 筆記試験
- 実技試験
出来が悪いと普通に落ちるので対策は立ててから参加した方が良いです。
患者様の治療内容
治療内容はコース中に学んだ内容がしっかり使えているかも確認されています。
先ほど紹介したDVDで治療法を予習しておき、PNFハンドブックの「4章 患者の治療」の項目を読んで治療計画の立て方を理解しておけば、かなりスムーズに治療実習が進むと思います。
筆記試験
筆記試験は基本的にコースで学んだことや基本的なことが出ました。多くはありませんが筆記試験で落ちてしまう方は普通にいるので、しっかり勉強はしておいた方が良いです。
問題数は全部で15問
Level4の方は10問以上、Level4Bの方は12問以上正解しないと合格できません。
特に歩行周期ごとの筋活動などはしっかり押さえておくべきです。「観察による歩行分析」に詳しく記載があるので読んでおきましょう。
さらに、ICFのことやPhilospphy、Basic Principles、Procedures、パターン・テクニックの特性などは「PNFハンドブック」で押さえておきましょう。
Level 4BやLevel 5など、より高みを目指す方は英語が必要になってきます。
「PNFハンドブック」と一緒に、今のうちから英語版の「 PNF in Practice (5th edition)」を購入して読み込んでおくと、間違いなく役に立ちます。
実技試験
私が受けた時は症例に対する治療実践テストとパターンのテストの二つがありました。
治療実践テストの症例は基本的にコース中に習ったことでした。コース中に行っている治療法はしっかりメモして覚えておいて、どの症例を引いてもできるようにしておきましょう。
先ほど紹介した市川先生のDVDで事前に予習をしておけば、実技試験はかなり余裕が出て楽になると思います。
パターンは松田現先生のYouTubeチャンネル「PNFチャンネル」で、わかりやすくパターンの説明がされています。何度も見て練習しておくと良いです。
PNFチャンネル:https://www.youtube.com/@pnf6291
おわりに
この記事がこれから Level 4/4B 整形を受ける方のお役に立てると嬉しいです。
テストがあると聞いて不安に思っている方の不安が少しでも解消されることを祈っています。
この記事に載せた書籍やDVDで筆記試験や実技試験の対策で勉強しておけば、普段の臨床にも役に立つと思います。
しっかり対策をしてコースの合格を掴み取ってください!
いっしょにPNFの勉強頑張りましょう!