最近IPNFAの Level 5 を修了してPNF認定セラピストになった理学療法士の尾澤です。
IPNFAのアドバンスコースLevel 4/4B 中枢を受ける方はとても意識が高く勉強熱心で、患者様をより良くしたいとを考えていて心から尊敬します。そんな一生懸命頑張る素晴らしい方でも、どうしてもテストや治療実習で合格できなくて挫折してしまう方が一定数います。IPNFAのコースは非常にしっかりとしたコースなので仕方ないことだとは思いますが、挫折して仲間が減ってしまうのは悲しいし寂しいです。
一人でも多くの方が合格してくださるように、この記事では私がコースを受講した時の経験と、コースを受けた上でどんな予習をしておけば良いかという対策を記載しておきます。
テストなどが不安な方、より質の高いコースを過ごしたい方のお役に立てれば幸いです。
PNF Level 4/4B 中枢とは
PNF 4/4B 中枢はPNFのベーシックコース1+2、アドバンスコース3を受講して一定の成績を残して推薦を受けたセラピストが受けられるコースです。アドバンスコース3を受講した半年後以降に受講できます。
4は整形、中枢、スポーツの3種類があり、その中のひとつです。
ベーシックコースで学んだPNFを、整形外科疾患に特化した応用方法を学んでいくコースでした。
概要
私が受けたコースの概要は以下のようなものでした。
日程:2020年1月8日〜12日(5日間)
講師:Benedict Bomer先生(IPNFAシニアインストラクター)
(IBITA ボバースアドバンスインストラクター)
言語:英語(日本語の通訳あり)
テキスト:英語(和訳付き)
内容:
中枢神経疾患に特化したPNFの応用
患者様の治療実習
筆記テスト
実技テスト
受講料:13万円前後(税込)
会場:デール研修センター(鳥取県米子市)
参加人数:18名
私が参加した時の臨床年数
私が参加したのは2020年の1月、臨床7年目の時でした。2016年11月にベーシックコース1+2、2017年7月にアドバンスコース3、2018年8月にLevel4 整形を終了していました。
当時はリハビリ病院の回復期病棟所属で、主に片麻痺患者様を担当することが多い時でした。
タイムスケジュール
私が受けた時の1日の流れは、だいたい以下のような感じです。
9:00〜12:00 講義
12:00〜13:00 昼休み
13:00〜15:00 講義
15:00〜16:00 治療実習
16:00〜17:00 インストラクターによる治療デモ
17:00〜18:00 講義 or 少し押した分
17:30〜18:00 質疑応答
一日中ガッツリでかなりハードです。
1日目
初日の最初にコースの説明と簡単な自己紹介がありました。日本語で大丈夫ですが、せっかくの海外の講師ですので英語の自己紹介を準備しましょう。自己紹介の内容は以下のようなもの。
- 名前
- セラピストになって何年目か
- どの領域の治療経験があるか
- どこで働いているか
- 以前のコースのインストラクターは誰か
- PNF以外の講習会の経験はあるか
私が自己紹介をする時用に準備している定型分は以下のようなものです。よろしければ参考にしてください。
I’m Shota Ozawa.
私の名前は尾澤翔太です。
I’ve been working as a physiotherapist since 2014 and am in my 9th year.
2014年に理学療法士になって現在理学療法士9年目です。
I have experience treating in many kinds of patients such as orthopedics, stroke hemiplegia, spinal cord injury, neurology, and cancer.
私は整形外科、脳卒中片麻痺、脊髄損傷、神経内科、がんなど多くの領域の患者様の治療経験があります。
I’ve worked at a university hospital, rehabilitation hospital and orthopedic clinic.
今まで大学病院、リハ病院、整形外科クリニックで働いてきました。
Now I work in a private salon.
今は開業しています。
I mainly treat patients of chronic orthopedics, stroke hemiplegia, and ingrown toenails.
主に慢性期整形外科患者、脳卒中片麻痺患者、巻き爪の方を治療しています。
My instructor was Gen Matsuda in Level 1&2, Attila Szabo in Level 3 and Marcel Grzebellus in Level 4 ortho.
インストラクターは1&2では松田現先生、3ではAttila Szabo先生、4整形ではMarcel Grzebellus先生でした。
In addition to PNF, I have experienced many workshops such as ISST, manual therapy, ingrown toenail correction, and insole making.
PNFの他にはシュロス法(ISST)、徒手療法、巻き爪補正、インソール作成など多くの講習会に参加してきました。
I’m looking forward to working hard on this course with everyone.
皆さんといっしょにコースを頑張るのが楽しみです。
I’ll do my best for 5 days.
5日間精一杯頑張ります。
Thank you.
ありがとうございました。
1日目は、最初に自己紹介があった以外は、最初に書いたタイムスケジュール通りでした。
2〜3日目
2日目、3日目も最初に書いたスケジュール通りでした。
患者様の治療実習中に講師がまわってきて、我々が行っているPNFを評価していました。
4日目
4日目は朝イチで筆記試験がありました。
9:00〜10:00前くらいまで試験をして、あとはタイムスケジュール通りでした。
5日目(最終日)
最終日は昼休み後、13:00から実技試験でした。
順番は自分たちで相談して決めました。基本的には距離順、もしくは飛行機の時間が近い人から試験を受けていきました。
PNF4/4B 中枢の内容
講師はドイツ人のインストラクターで、講義は主に英語でしたが日本語の通訳が入ってくださっていました。英語が不安な方も安心して参加して大丈夫です。
内容は以下のようなものでした。
- 中枢神経疾患に特化したPNFの応用
- 患者様の治療実習
- 筆記テスト
- 実技テスト
中枢神経疾患に特化したPNFの応用
主な内容は中枢神経疾患(脳卒中片麻痺)に対するPNFの応用でした。
中枢神経疾患(特に脳卒中片麻痺)に対してPNFを使う際に必要な神経学的な知識やエビデンスについての講義を受けた後に、実技練習を行いました。講師のBenedict Boemer先生はボバースのアドバンスインストラクターでもあるため、神経系の知見が信じられないくらい深く広く、講義がとても面白くてわかりやすかったです。
患者様の治療実習
講師によって振り分けられていた実際の慢性期中枢疾患患者様に対して、二人ペアになって治療します。
持ち時間は二人で1時間くらい。
IPNFAのアセスメントシートを使って評価、治療を実施していきます。
治療実習中はインストラクターが我々がどのような治療をしているか評価をします。
治療実習が原因で落とされた方も普通にいます。
筆記テスト
筆記テストは15問の選択式でした。
私が受けた時は1問につき4つの選択肢の中から選択していく形式でした。
内容は神経系の知識、Philosphyのこと、Basic Principlesのこと、コアマッスルのこと、代償として働きやすい筋のこと、歩行のこと、パターンやテクニックのことなどでした。
アドバンスコース4の方は10問(2/3)以上、4Bの方は12問(4/5)以上正答する必要があります。
神経系のことはボバース系の書籍がテスト対策などに役立ちましたが、しっかり講義を聞いていれば普通に合格できるテストでした。
実技テスト
試験時間は一人20〜30分程度、カードを引いて書いてある症例にどのような治療をするかを実践しました。
紙とペンを持って行って、前の参加者がテストを受けているうちにどのようなスケジュールで治療するか紙に書いて準備してから実技試験が始まりました。
治療テスト後はパターンのテストがありました。
講師が上肢・下肢から一つずつランダムで出題し、言われたものを行いました。
肘・膝を曲げながら・伸ばしながらなど複雑なパターンを出されました。
コースに参加してどうだった?
このコースは感動しました。
このコースに参加する前は、PNFを使ってなんとか片麻痺患者様のリハビリで効果を上げられていましたが、どこか片麻痺に対するリハビリに苦手意識がありました。
このコースに参加してからは、麻痺によってどうして筋緊張が更新して不随意運動が生じるのか、非麻痺側を過剰に努力させない重要性など、学生時代から10年以上疑問だったことが解決して、本当に楽しかったです。
長年の疑問が解決してとても楽しかったため、毎日宿泊先のホテルに帰ってから夜遅くまで復習をして、朝早く起きて予習・復習をしていたら高熱を出しました。笑
コース参加後は片麻痺患者様のリハビリをしていても、劇的にリハビリ効果が出るようになり患者様からは「毎日リハビリを受けるたびに良くなるのがわかるから理学療法が楽しみ」「退院してから尾澤さんと同じリハビリはどこに行けば受けられるの?」と言われるようになり、患者様の満足度がとても上がりました。上司からも「尾澤の中枢系のリハビリすごくよくなった」と言われるようになり、片麻痺患者様のリハビリが得意になりました。
参加する前にしておいた方が良いこと
PNF4中枢に出た上で今ならこういう予習・対策をしておくというものがあるので紹介しておきます。これをやっておけば、試験の不安を払拭でき、コースに余裕が出て得られるものが多くなるだろうと思います。
用意しておくべき書籍
これら書籍は試験対策になるだけでなく、今後の臨床でも必ず役に立ちます。
PNFハンドブックの「4章 患者の治療」の項目を読んでおくと、測定や評価、仮説など、コースの治療実習に役立ちます。治療実習で「アセスメントシートはどうやって書けばいいの?」という悩みに役立ちます。また、章ごとの確認テストがついているので、知識の確認や筆記テスト対策に役立ちます。
また、Benedict Bomer先生の中枢コースはボバースのようなアプローチがミックスされています。ボバースに全く触れたことが無い方は、書籍などで神経系の勉強やなんとなくどんなことをやるのかだけでも眺めておくのがおおすすめです。
絶対に見ておくべき動画
IPNFAのYouTubeチャンネルに講師のBenedict Bomer先生が講義をしている動画があるので、そちらを見ておくと予習になります。コースで学ぶ中枢系の知識も結構説明されています。
テスト対策
テストは以下の3つがあります。
- 患者様の治療内容
- 筆記試験
- 実技試験
出来が悪いと普通に落ちるので対策は立ててから参加した方が良いです。
患者様の治療内容
治療内容はコース中に学んだ内容がしっかり使えているかも確認されています。
、PNFハンドブックの「4章 患者の治療」の項目を読んで治療計画の立て方を理解しておけば、かなりスムーズに治療実習が進むと思います。
筆記試験
筆記試験の内容は神経系の知識、Philosphyのこと、Basic Principlesのこと、コアマッスルのこと、代償として働きやすい筋のこと、歩行のこと、パターンやテクニックのことなどでした。
神経系のことはボバース系の書籍がテスト対策などに役立ちましたが、しっかり講義を聞いていれば普通に合格できるテストでした。
問題数は全部で15問
Level4の方は10問以上、Level4Bの方は12問以上正解しないと合格できません。
基本的にはしっかり講義を聞いていれば大丈夫だと思いますが、神経系の知識は多少予習した方が良いと思います。
さらに、ICFのことやPhilosophy、Basic Principles、Procedures、パターン・テクニックの特性などは「PNFハンドブック」で押さえておきましょう。
Level 5など、より高みを目指す方は英語が必要になってきます。
「PNFハンドブック」と一緒に、今のうちから英語版の「 PNF in Practice (5th edition)」を購入して読み込んでおくと、間違いなく役に立ちます。
実技試験
私が受けた時は症例に対する治療実践テストとパターンのテストの二つがありました。
治療実践テストの症例は基本的にコース中に習ったことでした。コース中に行っている治療法はしっかりメモして覚えておいて、どの症例を引いてもできるようにしておきましょう。
パターンはIPNFAアドバンスインストラクター松田現先生がやっているYouTubeチャンネル「PNFチャンネル」で、わかりやすくパターンの説明がされています。何度も見て練習しておくと良いです。
PNFチャンネル:https://www.youtube.com/@pnf6291
おわりに
アドバンスコース中枢は片麻痺患者様のリハビリで高い効果を出して片麻痺患者様を救いたいと考えている方の大きな武器になります。
この記事がこれから Level 4/4B 中枢を受ける方のお役に立てると嬉しいです。
テストがあると聞いて不安に思っている方の不安が少しでも解消されることを祈っています。
この記事に載せた書籍やDVDで筆記試験や実技試験の対策で勉強しておけば、普段の臨床にも役に立つと思います。
しっかり対策をしてコースの合格を掴み取ってください!
いっしょにPNFの勉強頑張りましょう!